still dark(監督:髙橋雄祐)を見たら本当にナポリタンが食べたくなるのでしょうか? ※ネタバレあり
かくしてテストの日がやってきました。始めた時では考えられないほどに上達した手際で、たどたどしいながらも少しずつナポリタンを完成させていきます。時間ギリギリに皿を完成させるものの、ユウキは最後に「パセリを入れ忘れた」ことに気が付きます。もちろんケンタも店長も気付いていて、ケンタがこっそりパセリを振りかけて、店長もやはりこっそり咎めます。
そして三人は、それぞれ新しい日々に向かって歩き出します。ケンタと店長は二人でユウキのナポリタンを掻き込み、翌日からこれまで通りの毎日に戻り、ユウキは新しい仕事の面接にでも向かっているのか、今日も白杖を突いています。
短い時間の全編、ほぼユウキの働きぶりと二人との触れ合いに終始していましたが、冒頭と結末のユウキの営みで、彼の境遇がいろいろと想像できます。緊張した面持ちで歩くラストと比べて幾分希望に満ちたように感じるオープニングの違いもあるでしょう。その前の仕事を辞めて落ち込んでいたところ気になるレストランでおいしいナポリタンを食べて、喜び勇んでアルバイトに申し込もうとしていたのだろうか、最後は一度や二度じゃない挫折を乗り越えて、何度目かの再チャレンジのワンシーンなのかな、といったもう想像が膨らんだまま余韻に浸ることが出来るのではないでしょうか。
また、サムネイルや予告動画でみたナポリタンと比べて、作中で汗だくのユウキが作ったナポリタンは、是非パセリを振って食べてみたいと感じさせるものでした。