ザ・フォーリナー/復讐者(監督:マーティン・キャンベル)でジャッキー演じるのはジェイソンがランボーか? ※ネタバレあり

ジャッキー・チェンが真面目な演技を作品は幾つかあると思いますが、個人的には大きく2種類に大別されると思います。一つは、いつも陽気な石丸ジャッキーが、シリアスな場面で弾けながらも真面目な演技をするもの(「ラッシュアワー」など)、もう一つは終始真面目な演技をするもの(「ポリス・ストーリー」など)です。今回は後者で、ジャッキーは徹頭徹尾、重苦しい枷をかけられたような演技です。声はもちろん、ジャッキーと同様年相応に深みを増した石丸博也が、昔のジャッキーが齢を重ねた今のジャッキーは正にこれ、と思わせる演技で作品を作り上げてくれます。こういう方向性のジャッキー映画も大好き、という方ならこの映画は絶対に見逃せません。

 

本作品は2017年のイギリス、中国、アメリカの合作映画で、結構な額のチャイナマネーで作られたのかと思いきや、3500万ドル、50億円弱でした。しかしながらジャッキー・チェン主演に加えて敵役はピアーズ・ブロスナンという渋い配役に加えて、監督は「007 カジノ・ロワイヤル」や「マスク・オブ・ゾロ」で知られるマーティン・キャンベルという著名なタレントが集まっていますので、それだけでも期待が高まるというものです。

そんなポテンシャルを多分に含んだ本作のあらすじはというと、ジャッキー演じるレストラン経営のクァンが一人娘と共に爆破テロに遭い、娘は亡くなって自らも吹き飛ばされ、憔悴しながらも犯人を捜すよう警察、政治家に掛け合うも体よくあしらわれる、という冒頭から始まります。テロで負った切り傷もまだ癒えない、しゃがれ声の石丸ジャッキーが多少年老いた風体で物思いに耽り、街を彷徨う姿は哀愁たっぷりです。しかし、クァンは副首相ヘネシーへの陳述時に、持参したたばこや瓶で急ごしらえの手作りの爆弾で爆破騒ぎを起こし、直後にヘネシーへ警告の電話を入れます。はじめはクァンに対して歯牙にもかけない様子だったヘネシーは、農場に家族と手下ともども引きこもったり、元特殊部隊という肩書を持つ甥のショーンを呼び寄せたりと緊迫感を増していきます。次第にヘネシーとテロ組織の関係、クァンの過去、ヘネシーの身辺の人間模様などが明らかになり物語は加速していきます。

※ここからネタバレあり。